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あたりまえの日々の中にある作詞
日常は、劇的なドラマに満ちているわけじゃない。朝起きて、顔を洗って、コーヒーを淹れる。そんな「あたりまえ」の繰り返しの中にこそ、実は新しい歌の種が転がっています。 今回は、私が普段どんな風に日常の景色を言葉に変えているのか、その舞台裏を少しだけ覗いてみてください。


朝一番、ケトルがシュンシュンと音を立てる。マグカップに注いだコーヒーから立ち上る湯気を眺めている時間が、私にとっての「作詞の始発駅」です。 頭が完全に起ききる前の、まだ世界のノイズが少ない時間帯。ぼんやりと浮かんでくる「あ、なんかいいな」という感覚を、忘れないうちにノートの端に書き留めます。特別な言葉じゃなくていい。その時の空気の色をそのまま残すイメージです。

お気に入りのスニーカーを履いて、いつもの散歩道へ。ただ歩くだけですが、実はこれが作詞に欠かせないプロセスです。 右、左、と刻む自分の歩調(テンポ)に合わせて、不思議と頭の中で言葉がリズムを持ち始めます。すれ違う見知らぬ誰かの会話、風の冷たさ、犬の鳴き声。街の雑踏すべてが、BGMのように言葉の後押しをしてくれるのです。良いフレーズが浮かんだら、すぐにスマホのボイスメモへ。

部屋に戻り、ギターをケースから取り出す。ここからが本格的な作業です。 日常のスケッチを集めたノートを開き、コードをポロンと鳴らしてみる。さっきまでバラバラだった「あたりまえの言葉たち」が、メロディという服をまとうことで、急に特別な意味を持ち始めます。「このフレーズは、もっと低い声の方が伝わるかな」なんて、あえて言葉を削ったり、並び替えたりする、一番ストイックで愛おしい時間です。
